軽貨物運送の世界もずいぶんと様変わりしてきました。
以前は軽ドライバーをやるならヤマト運輸とか佐川急便の名前が真っ先にでてきたものです。
しかし最近は10人に聞けば10通りの会社名がでてくるぐらいに選択肢が増えています。
今回ご案内するセルートという会社もそんな選択肢の中の一つ。
ところがこの会社、他とは少々違ったユニークなことをやっています。
そんなことできる社長さんってどんな人?ダイヤクって何?
セルートとは
一般的な配送業者では軽貨物主体に展開していることが多いです。
しかしセルートは軽貨物ドライバーとバイク便ライダーの2本立てで展開、働き方を選ぶことができます。
セルートは1984年に広告代理・出版業から事業開始という異色な経歴があります。
その2年後にバイク便事業を開始、現在は日本の4大バイク便会社の一つであり、カーゴ便よりむしろバイク便の方が知名度は上かもしれません。
緊急配送を得意としており、小型の荷物はバイク便、それ以上のサイズの荷物は軽四カーゴ便と住み分けています。
求人は業務委託契約のみ。
バイク便ライダーには車両リース制度がありますが、カーゴ便ドライバーは営業ナンバー取得の車両持ち込みの方に限るとされています。
軽貨物車両のリース・レンタルがないのは軽ドライバーとして開業のハードルが少し高くなってしまいますね。
業務に必要な制服(ジャンパー・ポロシャツ等)とGPS携帯、ETCカード等の備品は貸与してもらえます。
オペレーターチームがドライバーの位置情報をGPSで取得できるため、道に迷っても正確なルートを案内してくれます。
まあ今は地図アプリが発達しているし、逆に言えば常に自分の行動を監視されるという息苦しさを覚える人もいるでしょうね。
大きな特長・メリットは加盟金・保証金・ロイヤリティがありません。
営業ナンバーを取得していれば車色は自由で社名等のペイントやステッカーも不要なため他の仕事と兼業も容易です。
セルートの社長はどんな人?
高木恵理。
セルートの社長の名前です。
一見「女性?」と思ってしまいますが男性です。
多くの運送系の社長はドライバーからの叩き上げでのし上がってきていますから、その運送業の延長で業態はシンプルです。
しかしセルートの社長は広告・出版業からの転身ということで、運送業界に見られるタイプと少々毛色が違う感じがいたします。
その最たる例が映画「メッセンジャー」の件でしょう。
今からちょうど20年前に公開された映画なので若い方はご存知ないかな?
でも草彅剛クンや飯島直子、ナイナイの矢部浩之、加山雄三といった有名人キャストに加え、主題歌が久保田利伸と当時は話題性抜群でした。
この映画にナント!
セルートが実名で悪役の運送会社としてロゴ入りの実物バイクまで登場しています!
悪役で実在の会社が映画に使われるというのは前代未聞。
これにGOサインを出したのが高木社長。
会社のイメージダウンを危惧するか、知名度アップの広告効果を取るか?
さすが広告の世界を知る社長の強みがこういうマーケティング戦略に表れます。
また、後で触れますが「ダイヤク」という運送系マッチングアプリビジネスも2017年にスタートさせています。
単にただの運送業で終わらず進化・発展させている手腕。
「気合いだ!根性だ!」で自ら人手不足に追い込んでいる他の運送系経営者と一線を画している感じがいたします。
今後セルートをどこへ導こうとしているのか、将来性が気になりますね。
セルートの業務委託求人は稼げないの?
緊急配送を得意としていますが、カーゴ便には宅配もあればスポットもあります。
実際の宅配便の求人情報とスポットの計算式によりセルートの報酬を考えてみましょう。
宅配ドライバー募集
最初の3カ月は日収13,500円の最低保障、以降は単価130~140円(1日140件前後)。
ナイト便の配送もあり、18:00~22:00限定で一律5,000円。
スポット・チャーター便
運賃例:東京都中央区日本橋1丁目 → 横浜市西区みなとみらい1丁目
カーゴ便 運賃 15,181円(税抜)
バイク便 運賃 14,581円(税抜)
宅配は1日の配達完了数が140件として単価130円なら18,200円、140円なら19,600円。
月25日稼働で455,000~490,000円と単に机上計算では「おっ?」と期待してしまう。
しかし配達完了が140個ということは実際の配達件数は180個ぐらい。
1日180個というのはかなりの上級者が成しえる配達数であり、現実的な数字としては最初の数か月は日収保障の額あたりいけば御の字でしょう。
13,500円×25日で337,500円。ここから車両にかかる費用が全部自分持ちですから手元に残るお金は24万~25万円ぐらいか。
一方、スポットの場合は仕事の特性として収入が読めないという不安があります。
運賃例の金額から実際ドライバーの報酬となるのは50%前後という感じでしょうか。
それでもこの程度のスポットが1日2~3件コンスタントにあれば、労働対価としては悪くはない。
実質所得が月24~25万円なら家族持ちには少々厳しい感じです。
ただし苦しい最初の数か月を乗り越えることができれば、実質収入はサラリーマン以上になることも可能な世界です。
最初は稼げません!しかし長い目で見た時に稼げる道筋が開かれていきます。
あくまでも報酬例は皆が同じになるわけではありません。
会社員ではないのですから結果は自己責任です。
実はダイヤクの運営会社はセルート!
ハコベルやピックゴーの台頭で今でこそ珍しくなくなったマッチングアプリによる運送。
実はその中の一つ、ダイヤクというサービスはセルートが運営しています。
2017年に開始したダイヤクは、自転車やバイク、軽四輪で誰でも参加できるシェアリングエコノミーです。
内容はウーバーイーツとほぼ同じ。
アプリを通して今すぐ荷物を届けて欲しい人が近くにいるドライバー、ライダー、メッセンジャーを探して配達を依頼するビジネスです。
運ぶモノにはお弁当など食品も含まれますのでウーバーイーツと競合する部分もある。
セルートがバイク便を運営しているノウハウはダイヤクの運営に活かされているようです。
ウーバーイーツが運ぶモノが食材に限られているのに対し、ダイヤクはジャンルを問わないのも強み。
ウーバーイーツの最近の相次ぐ問題がライバルでもあるダイヤクに追い風になる一方で、シェアリングエコノミー自体に懐疑的な意見も噴出してきています。
「餅は餅屋」という文化が根付いている日本社会に、シェアリングエコノミーが市民権を得るのかどうか?
私達の働き方はどうなっていくのか?
単に運送の世界に留まらない新しい業態から目が離せません!
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